三井健太のWEBマンション講座

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NO.95 「直貼りマンションの問題点」

(文責 三井健太20171月記)

 

 

2014年頃から、直床構造の新築マンションが増えています。

 

野村不動産の「オハナ」シリーズを代表に長谷工コーポレーションの
施工する物件の大半が直床構造ですが、
長谷工以外の物件でも見られます。

 

直床マンションは良くないというイメージがありますが、
実際どのような面で良くないというのか、
そこにスポットを当ててみました。

 

●二重床マンション誕生の理由とメリット●

マンションが日本で本格的に普及する前、黎明期の昭和30年代は
コンクリート直にカーペットを張り付けた構造だったようです。
天井も二重になっていない例が
結構多かったのです。直天(じかてん)と呼ぶ形が普通でした。

 

カーペット貼りは、軽衝撃音は響きにくい利点がありますが、
ドスンといった重衝撃音には無防備です。

 

また、給水管やガス管はコンクリートに埋め込む形だったようです。
電気配線も天井のコンクリート内部に埋め込んでありました。
当時は、老朽化したときの配管の交換などは考慮していなかったのです。

 

このようなマンション供給を続けているうち、
騒音苦情に分譲主や施工会社が直面する機会が増えて行きました。

 

配管のルートも、耐久性を考慮して埋め込みは良くないと
気付くようになって行きました。

 

そして誕生したのが二重床・二重天井という構造のマンションです。

 

水道管やガス管はコンクリートに埋め込まず、
「床ころがし」という方法を
採るようになりました。電線も天井裏を通す形です。

 

床の二重構造は、最初は細い木の角材を何本もコンクリートの上に置き、
その上に板を張って、更にカーペットを張るという方式でした。

 

コンクリート直ではないので、床の上で飛び跳ねても騒音は小さいはずだ
と考えられました。

 

しかし、実際は空中に浮いているわけではないので、音は伝播します。
完璧に音を消すことは今も困難ですが、遮音性の高い材料の開発や
施工技術の研究を重ねながら、何種類もの方法が試されて来ました。

 

●直床(じかゆか)のどこが問題か

直貼り床のどこがいけないのでしょうか? 
二重床にしないと階下に生活音を響かせるのでしょうか?
 いいえ、必ずそうなるとも言えないのです。

遮音性は、コンクリートの厚さや梁から梁までの平面積の大小、
施工方法、施工精度など様々な要素が絡み合って差ができるものです。

 

単純にはコンクリート直より、別の素材と空気層をサンドイッチ
した方が良いに決まっていますが、実際は違っています。

 

二重床の方が直床より遮音性は高いことを証明するデータはありません。
むしろ、直床の方が遮音性は高いというのが一般的です。
実際、二重床でも遮音性の低いマンションはいくらでもあるからです。

 

直床構造の最大の問題は、将来のリフォームが制約を受けやすい
ということです。つまり、問題点に気付くのは
10年以上も先に
なってからというわけです。
しかも、大掛かりな間仕切り変更を計画したときに
初めて気づくというレベルなのです。

 

比較的築浅の段階で売却するときは問題ないですが、築20年くらいに
なって来ると直貼りの問題がネックとなって
買い手が中々つかないという事態に直面するかもしれません。

 

最近、新築より安い中古を買って改造し、
自分好みのマンションにしたい夢を持っている人が増えています。
いわゆるリノベーションを前提にする人ですが、
その種の買い手を候補として迎えたと想像してみましょう。

 

立地条件を気に入り、広さも条件に適っている、
価格も予算以内にあるということで商談が進みました。
買い手候補は、間取り図を見ながら改造案を
巡らせます。その過程で、リフォーム業者と打ち合わせを行います。

 

そのとき、管理人室に置いてある設計図書(竣工図)を見て、
天井の低さや配管ルートの取りづらさなどに気付き、
改造プランの実現が困難であると知るかもしれません。

 

その結果、購入を断念する、売主から見れば客を逃す
ということになります。
結局、間仕切りまではしなくてよいという買い手にしか
売ることはできない可能性が高い。
そう覚悟しなければならないかもしれないのです。

 

当然、価格も安くなってしまうかもしれません。

 

天井が低いと書きましたが、直貼りマンションの殆んどは
「階高=コンクリート面同士の高さ」が低いのですが、
床を高くしない(直貼りにする)ことによって
天井高が確保されているに過ぎません。

 

従って、直貼りマンションをリノベーションで二重床の
マンションにするのは極めて難しいことなのです。

 

また、直張りのフローリング材は、遮音性を高めるためにラバー
が張り付けられたタイプが用いられるため、歩行すると柔らかくて
沈み込む感じがあり、何となく頼りない印象を受けます。
フワフワ感と表現する居住者が多いのです。

 

その点、二重床は遮音性を高めるためのコストが増えますが、
沈み込むようなフローリング材を採用せずに済みます。
床材の選択の幅も広がるメリットが多いのです。

 

上記以外に、直床は本当に問題ないのでしょうか? 
残念ながら、客観的な情報はありません。
直(じか)よりは二重にした方が
良さそうだというイメージが先行するだけとも言えます。

 

ネット掲示板のコメントは「重箱の隅を楊枝でほじくる」類の
ものが多く、「直貼り」への批判記事もありますが、
あまり気にしない方がよいでしょう。

ただし、無視できないものもあるのは確かです。
物件の短所を積極的に説明する売主はいないからです。
問われれば答えてくれるし、欺瞞でもないのですが、
「できたらそこには触れてくれるな」と
願っている営業マンも少なくありません。

例えば、「直貼り床構造」に関しては販売資料のどこかに表示して
あるはずですが、積極的に説明はしません。
セールスポイントではないからです。

その他にも、気づきにくい部分、特に目に見えない部分で品質や
性能が水準以下にあるような例はいくつもあります。

遮音性、省エネ性、耐震性、耐久性などは見えないものです。
これは、第三者機関が設計図を検査した「設計住宅性能評価」を見て
品質(性能)を確認すればよいのです。

性能評価の項目は、耐震性や省エネ性、耐久性など11項目あるのですが、
このうち「音環境」に関するものは評価を任意としています。
「音環境」とは「外部や上階などからの騒音の侵入が
どのくらい防げるか」というものですが、

音の問題は、個人の感覚の問題も大きいことに加え、
近隣住人の生活ぶりでも変わるため評価がしづらいので、
評価を受けたとしても安心材料にはなりにくいためです。

 

●直貼りマンションが増えている背景

二重床構造が定着したかに見えた分譲マンションですが、
再び直床構造が増えて来たのはなぜでしょうか?

 

理由は簡単です。東日本大震災以降、建築費が急騰してしまったため、
コストカットの必要に迫られたためです。

 

二重にすれば手間がかかりコストもかさみますが、直貼り工法は
工程を二つくらいは省いているわけですから、
手間もコストも少なくてすむからです。

うまい比喩ではないのですが、250工程もあるとされる高級オーダー
スーツと工程数が
200未満の安物の既製紳士服との差でしょうか?

直床工法のマンンションでは、コストカットが床の工法だけに
留まらない可能性があります。
他の部分でも設計の単純化や工法の省力化などを
採用していることを想起させます。

そこで、先に述べた性能評価書を見るという検討作業が必須になるのです。

コストカットという表現は誤解を与えがちですが、必ずしも粗悪な建物
ということではないのです。

例えば、3基あった方がよいエレベーターを2基に減らすとか、
ラウンジやロビーを狭くしてその分の面積を住戸に充てて
価格をわずかでも下げるといった方法によって
「中級レベル」をキープしている例は
いくらでもあります。

 

 


 

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