三井健太のWEBマンション講座

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NO.94「新築マンションの価格の決まり方」

(文責 三井健太201610月記)

 

マンション価格の行方に関心ある人の発言に、「供給過多で値崩れしないか」や

2020年のオリンピック以降に価格が急落するのではないか」

といったものがあります。

 

今、なぜ価格が急に上がってしまったのか、そもそもマンションの価格とは

どのようにして決まるものなのか。

販売の好調さを良いことに、マンション業者が価格を吊り上げて

相場を誘導しているのではないか? 

 

ひと頃、このような疑問が提起されていました。

本稿では、マンション価格の変動について解説します。

 

 

●新築マンションの価格は硬直的

新築マンションの価格は、用地費+建築費+販売経費+利益

という構成になっています。

 

都心などの地価の高いエリアでは40%を用地費が占め、

建築費も同じ
40%くらいです。残りの20%が販売経費と利益ということですが、

郊外マンションになると、

最も大きなシェアを占めるのが建築費です。

 

用地費が2030%、建築費が6050%、販売経費と利益が20%という構成です。

 

用地費は売り出し時期に関わらず、買収時点で確定しています。

 

※正確には、土壌汚染がある場合などでは改良工事(汚染除去工事)が

必要になりますし、傾斜地・崖地の場合の地盤改良工事、

液状化の心配がある場合の対策工事など、

後から追加される例もあります。

 

用地買収は採算が取れる土地かどうかを判断して行うわけですが、

その計算に当たって、建築費は計画図面(法的にどのくらいの建物が建てられるかを

チェックした概略図)に基づいて予測値を組み込みます。

 

建築許可が下りるころになると、ゼネコンから提示される見積り額に対し、

ネゴシエーションして建築費が固まりますが、用地買収時の予測値(予算)を

大きく上回ることが多くなるようです。

 

最近3~4年の(2011年の東日本大震災後に起きた)急激な建築費上昇による

だけでなく、実は用地買収時の予算の立て方が甘くなりがちだからです。

 

そもそも、マンションを建てるための適地は少なく、優良な土地は奪い合いになって

上方に振れやすい
ため、採算性の見地から仕方なく建築費を抑え気味に計上する

傾向があるのです。つまり、用地買収の社内稟議を通すために、

難しいと知っていながら、建築費を少なく見積もるというわけです。

 

さて、発注額もほぼ決まって、間もなく着工という段階が来ると、

原価は確定することになります。

 

発売時期は着工後すぐという物件もありますし、完成まで2年以上を要する

超高層マンションの場合などは着工から半年以上してから売り出す例もあります。

いずれにせよ売り出し価格は、住戸別はまだでも全体的にはほぼ決まってしまうのです。

その理由はこうです。

 

冒頭で述べたように、「用地費+建築費+販売経費+利益」という

構成になっており、下げることができるとしても、販売経費と利益の
20%部分を

圧縮するほかないからです。

利益をゼロで売り出す事業者はありませんし、販売経費も圧縮幅が小さいので、

下げ余地は
5%くらいしかありません。

 

反対のケースはないのでしょうか? つまり、計画より建築費が安く済んだ

というケースですね。

筆者の知る範囲では
100件に1件もありません。

 

現状では皆無でしょう。マンション業者が苦悩しているのは、いかに建築費を抑え、

分譲価格を初期の計画値に近づけるかにあるはずです。

 

もうお分かりのように、新築マンションの場合、分譲価格は

下げ余地が小さく硬直的
なのです。

 

蛇足ですが、価格を下げたいときはプランを変えるほかありません。

つまり、建物の品質を下げ、付加価値に相当する部分を取り止めるのです。

 

 

●新築の下落が始まるのはピーク時から2年遅れ

新築マンションの価格は硬直的と述べましたが、

それは原価が決まってしまっているためでした。

 

それを無理矢理下げるとしたら、品質低下と利益の圧縮といった

小手先の策しかありません。

 

本格的に下がるまでは、地価も下がり、建築費も低下するという時期を

待たなければならないのです。

 

地価が下がるというのは景況が悪化したときや、不動産価格が上がりすぎて

購入をためらう企業が増えたときです。

マンション業者が中期の売り上げ計画を

大幅に下方修正したときも同様です。

 

また、建築費が下がるときとは、ゼネコン業界へ発注する建設投資が全体的に

減ったときです。最近のことで言えば、東日本大震災の復興需要がなくなってしまう、

東京オリンピック関連工事(競技施設や選手村の工事、インフラ工事など)が

なくなるときです。

 

東京の場合は、都心の再開発工事があちらこちらで盛んに行われていますし、

今後も新規の計画が少なくないようですが、それでも上記工事がなくなると

全体の工事量は大きく減り、人手不足も解消されて

値下がりする可能性は低くないでしょう。

 

プレ五輪の行われる2019年にはオリンピック関連工事はほぼ終わりに

近づいていることでしょう。

 震災復興関連工事も同じくらいのタイミングと予想できそうです。

 

しかし、たちまち値下がりするわけではなく、ピークから徐々に下がって

行くのであり、早くて
1年後くらい、つまり2020年くらいから、

やっと実感が出てくる

感じになるのではないかと予想できます。

 

用地の方も安値で買えるようになるのはいつかが読めませんが、

急落するとは思えないので、徐々に下がると考えるべきです。

マンション用地はうまく安値で買えたとしても、開発許可・建築確認を経て

着工・販売開始までに小型物件で
1年、大規模なものは3年を要します。

 

こうした考察をして行くと、新築マンションの価格が実感できるレベルまで

下がるのはピークから
2年以上を要することが分かるのです。

 

巷間言われている「東京オリンピック後は値下がりする」というのは正しいとして、

価格がはっきりと下がったと言えるのは、
2022年以降ということになりそうです。

 

 

●販売開始以後に値下げはある

ご承知のように、新築マンションは販売が不調で、予定から大幅に

遅れている場合は値引きして販促を図るのが普通です。 

定価の
5%~10%程度の値引き販売はよくあることです。

値引き幅は利益分が限度です。目安と言うべきかもしれません。

売り手にとって値引き幅は小さいほどいいのです。

 

稀に販売経費分も加えた20%(粗利)まで拡大することもあります。

 

100戸のマンションで20戸の売れ残り住戸を利益ゼロで販売しても、

全体の利益は
20%減るが80%は残るので、

最悪の場合はそこまで腹をくくる売主もあるのです。

 

 

●販売不振で価格が低下するとしても時間はかかる

マンション販売は、「青田売り」と言い、工事中に開始するのが一般的です。

超高層マンションなどは、完成が
2年先などという早い段階で

販売を始めるのは珍しくありません。

 

戸数が多いので、完売までにはたっぷり時間が必要と判断したのか、

市況の良いときに一気に大多数を売ってしまいたいという思惑なのか、

売主の意図は分かりませんが、とにかく竣工までには完売したい。

これが大半のマンションデベロッパーの目標になっています。

 

言うまでもなく、建物が竣工すれば発注先のゼネコンに建築代金の残金を

支払わなければなりません。その資金は売上代金を充当するのが理想です。

別途資金調達して支払う形は避けたいのがホンネです。

 

竣工時点で売れ残りが多数ある状態では困るので、販売促進を図るために

値引き策が登場します。決算期をまたぐケースにおいては、

それぞれの決算数字を読みながら、決算期前に値引きする企業と、

決算後に値引きする企業とに分かれます。 

どちらにしても、値引き販売の開始時期は竣工前後になるのが普通です。

 

しかも、値引き後の価格は表面化しません。統計数字には出て来ないのです。

ということは、一旦販売を開始した物件は表面上、

完売まで値下がりしないことになります。

 

新築マンションの価格を何十年も調査し続けている調査会社は、

定価のみを集計しています。

従って、新築マンション市場の変化(値下がり)を買い手が知るのは、

ずっと後になるのです。

 

販売不振が市場全体に広がり、新たに売り出す物件の価格を最初から下げて、

つまりコストカットや計画(設計)の見直しを行い、安くなるように

様々な工夫をする。

そのうえに利幅も大幅に圧縮して定価を抑えて売り出すには、

2年くらいの時間を要するのが普通です。

 

もっとも、建築費が急に下がってくれれば着工寸前でコストは減り、

努力なしで売値を下げることも可能になります。

 

ゼネコン各社が急に仕事が減ってしまい、安値でもマンション工事を

請け負いたいと動くことは今後もあるでしょうが、

それが急にやって来ることはないはずです。

ゼネコン業界も恒常的に売り上げや利益の確保に努めているわけで、

急に受注単価を大きく下げることはないのです。

 

以上から、建築費も急には下がらないと見なければなりません。

 

2003年から2013年までの10年間の首都圏平均価格(坪単価)を見ると、

2003年~2006年の4年間は180万円台で安定的に推移していましたが、

2007年に@203万円に急騰し、2008年~2010年はさらに上がって

210万円台となったのです。特に2010年は@219万円になりました。

2007年~2010年の4年間は急騰期だったということです)

 

2011年、2012年は少し下がって@213214万円となったものの

2年だけの安定期)、2013年は再び8%も上昇して@230万円になりました。

2014年、2015年もさらに上昇し、

安定期の
2012年比では20%(単価)も上がりました。

 

バブル後の底値(=2002年)以降で分析すると、新築マンションの価格動向は、

「値上がりは早く、値下がりは遅い、安定期は短い」ということになるのです。

 


 

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